講習会名:運動器超音波観察セミナー

タイトル:初級編・上肢

日  時:平成28年7月24日(日)13:00~16:00

場  所:全国柔整鍼灸協同組合 福岡事務所

参加者数:4名

講  師:筋・骨格画像研究会 専属講師

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今回は初級編、6大関節のどの部分がどのように画像として描出するのかを講義。
座学では入門編のプローブの形状とエコー輝度について復習。
形状は腹部・臓器の端から端など広範囲の描出が基本のコンベックス型、部位ごとに描出するリニア型。
エコー輝度は各組織における反射の強さ(ECHOGENINTY)が輝度として表現されます。

①肩関節の描出ポイントは、大結節と小結節は明るく描出されるので間にある結節間溝をランドマークにします。上腕二頭筋に対しては水平走査により輪切り状態になるので短軸走査。ただし肩甲下筋はプローブが若干斜めになるため長軸走査になります。必要なことは解剖図やMRI画像等の全体の画像が頭に入っていると狭い範囲での描出が容易になります。上腕二頭筋と結節間溝の関係は上腕骨を外旋することによって小結節に付着していて引っ張られる筋が肩甲下筋です。ここから長軸走査により平行移動すると外側方向へは大結節、内側方向へは小結節さらに内側は肩甲下筋の短軸走査が観察されます。この時のランドマークは小結節の独特なピラミッド型。プローブを当てると尖っているのが小結節となります。肩関節後方走査の描出ポイントはランドマークの上腕骨頭と関節裂隙から棘下筋腱と後方関節唇を観察。肩関節上外側走査のランドマークは大結節のSF・MF・IFとなり大結節は3つの腱板付表面からなり上面からSF・MF・IFと呼び、SFには棘上筋腱、MFには棘下筋腱、IFには小円筋腱が付着します。観察対象は棘上筋腱と大結節で肢位はCRASS肢位変法と呼ばれるズボンの後ろポケット位置に手を置く方法が観察を容易にします。

②肩関節の観察ポイントはランドマークも観察対象も同じです。肘関節内側走査の時は観察対象が内側側副靭帯となり描出が難しい為、靭帯が付着している骨を描出することです。

③手関節ではギヨン管と手根管について。

④股関節のランドマークは大腿骨頭、大腿動脈。臼蓋で大腿骨頭頸部は長軸走査で描出。他の部位とは違い深い部分なのでかなり描出は困難です。

⑤足関節のランドマークは腓骨と距骨で観察対象は外側の前距腓骨帯と内側の三角靭帯。

⑥膝は膝蓋靭帯と内側側副靭帯と前距骨靭帯の実技と症例画像講習。以上を骨モデル、解剖図、MRI画像、エコー画像の各種資料を基に講習が行われました。

 

実技講習では上記座学講習を踏まえたうえで、上腕二頭筋長頭腱の短軸走査、上腕を外旋させ肩甲下筋の長軸走査、棘下筋腱の画像を描出する。
膝の膝蓋靭帯と内側側副靭帯と前距骨靭帯の描出を実施しました。

講習中、受講者同士で協力し画像を描出する光景が見られ、熱心に講習に取り組んでいる中に、笑顔などもあり受講者一人一人が楽しみながら技術を学び習得している様子でとても良かったです。
前回の入門編の復習の時間も兼ねての初級編・上肢でした。
実技では、受講者が画像を描出するのに苦戦していましたが、講師のアドバイス、受講者同士での協力もあり全員が目的の画像を描出することができました。
受講者より、「より詳しく説明できるようになりたい」「イメージがわいてきました」「画像が見られてよかった」という言葉もあり、満足度の高い講習会でした。